持続可能な組織開発におけるエルゴノミクスの役割とは?

持続可能な組織開発におけるエルゴノミクスの役割とは? 立ち仕事のミカタ

1. はじめに

持続可能な組織開発(Sustainable Development of Organizations, SDO)は、経済・社会・環境の3つの要素を統合して、企業の持続可能性を高めること を目的としています。しかし、特に社会的要素(労働環境や従業員の健康管理)におけるエルゴノミクス(人間工学)の導入が不足している という課題があります。

本記事では、「Modelling Sustainable Organizational Development and the Scope of Ergonomic Interventions」 という研究を基に、エルゴノミクスの重要性や、持続可能な職場づくりに向けた具体的な介入策を紹介します。


2. エルゴノミクスと持続可能な組織開発の関係

持続可能な組織開発(SDO)とは?

SDOとは、企業が経済的利益を追求しながらも、環境負荷を抑え、従業員の健康や職場環境を向上させることを目指す概念です。しかし、実際には 従業員の健康や快適な労働環境を支えるエルゴノミクスの導入が十分に進んでいない ことが指摘されています。

エルゴノミクス(人間工学)の役割

エルゴノミクスとは、作業環境を人間の特性に合わせて最適化 し、生産性向上・安全性の確保・健康リスクの低減 を目指す学問です。
研究では、エルゴノミクスの導入によって以下の効果が期待できることが示されました。

作業効率の向上(無駄な動作の削減)
従業員の疲労軽減(筋骨格系障害のリスク低減)
ミスの防止(視認性や操作性の向上)
安全性の向上(事故や怪我のリスクを減少)


3. 研究概要:持続可能な組織のためのエルゴノミクス介入モデル

この研究では、Fuzzy Cognitive Maps(FCM:ファジー認知マップ) という手法を使い、生産性・健康・自動化などの組織変数をモデル化 しました。
12のシナリオをシミュレーションし、どのエルゴノミクス介入が持続可能な組織開発に最も有効かを検証 しました。

主なシミュレーション結果

📌 自動化の進展が、エルゴノミクス改善と生産性向上の鍵
📌 材料の取り扱いやタスクの複雑性が、職場のストレス要因となる
📌 照明・騒音・作業台の高さなどの環境要因が、従業員の負担に影響を与える

特に、エルゴノミクス介入(EI: Ergonomic Interventions) を適切に実施することで、作業の負担を軽減し、企業の持続可能性が高まることが示されました。


4. 具体的なエルゴノミクス介入策

研究では、特に以下の5つのエルゴノミクス介入策が効果的であることが分かりました。

① 職場環境の最適化

  • 照明の改善(適切な明るさを確保し、目の疲れを防ぐ)
  • 騒音の低減(耳栓や防音設備の導入)
  • 作業台の高さ調整(従業員の身長に合わせた調整)

② 作業負担の軽減

  • 重い荷物の持ち運びを減らす(昇降装置やキャスター付き台車の活用)
  • 作業姿勢の改善(座位と立位の切り替えができるデスク)

③ 自動化とロボット導入

  • 単純作業の自動化(繰り返し動作をロボットに任せる)
  • AIを活用したタスク管理(作業負荷の偏りを軽減)

④ 従業員の健康モニタリング

  • ウェアラブルデバイスの活用(疲労度や心拍数を測定)
  • 定期的なエルゴノミクス研修の実施

⑤ 仕事の進め方の最適化

  • タスクの優先順位を明確化(効率的な作業計画)
  • 休憩時間の最適化(短い休憩をこまめに入れることで集中力を維持)

5. 研究結果の図表解説

研究には、職場環境やエルゴノミクス介入の効果を示す重要なデータが含まれています。

📊 図1:作業時間の内訳

作業の効率性を分析したところ、一部のタスクに無駄な時間が多くかかっている ことが判明しました。この問題を解決するためには、作業手順の見直しや適切なエルゴノミクス介入 が必要です。

作業時間の内訳
引用元:Modelling Sustainable Organizational Development and the Scope of Ergonomic Interventions

🔊 図2:騒音レベルと照明環境

職場の騒音レベルを測定した結果、特定の機械の周辺で騒音が80dB以上になるエリアが存在 していました。騒音の影響を軽減するためには、防音設備の強化や耳栓の使用が推奨 されます。

騒音レベルと照明環境
引用元:Modelling Sustainable Organizational Development and the Scope of Ergonomic Interventions

🦾 図3:NASA-TLXによるタスク負荷評価

NASA-TLX(作業負荷評価法)を用いた分析では、精神的・身体的負荷が大きいタスク が特定されました。エルゴノミクス介入によって、作業負担を分散させることが可能です。

NASA-TLXによるタスク負荷評価
引用元:Modelling Sustainable Organizational Development and the Scope of Ergonomic Interventions

6. まとめ:エルゴノミクスを活用した持続可能な職場づくり

本研究では、エルゴノミクスを組織開発に統合することの重要性 が示されました。適切な介入を行うことで、職場の生産性向上・従業員の健康管理・持続可能な経営の実現 が可能となります。

作業環境の最適化(照明・騒音対策)
作業負担の軽減(機器の活用・作業姿勢の調整)
自動化とデジタル技術の活用(AIやロボットの導入)
健康モニタリングとトレーニング(ウェアラブルデバイスの活用)

エルゴノミクスを活用し、従業員の健康と生産性を両立する 「持続可能な職場環境」 を目指しましょう!

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立ち仕事の椅子「スタビハーフ」に座って仕事をする前立ち仕事の椅子「スタビハーフ」に座って仕事をする様子

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実証実験において、スタビハーフによる体重分散効果が示されました。

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スネ部のロールクッションが体重の一部を優しく支えることで、足裏の荷重が軽減していることがデータから示されました。

スタビハーフの負荷軽減効果検証実験1
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