外科医の早期退職に潜む腰痛の影響とは?最新研究とデータで読み解くリスクと対策

外科医の早期退職に潜む腰痛の影響とは?最新研究とデータで読み解くリスクと対策 立ち仕事のミカタ

はじめに:外科医を蝕む「腰痛」という職業病

高度な専門性と集中力が求められる外科手術。その裏で、外科医たちは長時間にわたる立ち仕事や無理な姿勢を強いられ、身体的な負担と常に隣り合わせの職業生活を送っています。中でも深刻なのが「腰痛」です。近年、腰痛が外科医の早期退職を促す大きな要因の一つとして注目されており、現場の医療体制や人材確保に大きな影響を与えつつあります。

本記事では、外科医の腰痛が早期退職にどう影響しているのか、国内外の研究データをもとに詳細に解説し、職場改善や人材定着のヒントとなる対策案を紹介します。


目次

外科医に腰痛が多いのはなぜか?—手術環境と姿勢の問題

腹腔鏡手術と身体的負担

腹腔鏡を用いた低侵襲手術は医師への負担が大きく、慢性的な腰痛を引き起こす原因となります

現代の手術では腹腔鏡(ふくくうきょう)を用いた低侵襲手術が主流になりつつありますが、これは術者にとっては極めて過酷な作業です。

  • 長時間同じ姿勢で立ち続ける
  • 顕微鏡的な視野での繊細な動き
  • 腕や肩、腰に常時かかる静的負荷

このような状況が、筋骨格系の疲労を蓄積させ、慢性的な腰痛を引き起こす原因となります。

エビデンスから見る実態

2019年の国際的調査によると、腹腔鏡手術を担当する外科医のうち、

  • 米国では78%
  • 英国では76%
  • ドイツでは61%

が手術中に腰痛や筋肉痛を経験していると報告されています(出典:Fierce Healthcare)。さらに、16%の外科医は医療機関での診察を要するレベルの症状を抱えていたとされています。


腰痛が引き金となる早期退職—外科医のキャリアに影響

腰痛が外科医の早期退職を促す大きな要因の一つとして注目されており、現場の医療体制や人材確保に大きな影響を与えつつあります

なぜ腰痛が退職理由になるのか?

外科医のキャリア形成には長年の修練と高い専門性が必要ですが、それでも以下のような理由から腰痛を理由に離職せざるを得ない状況が生じます:

  • 手術中の痛みによる集中力低下
  • 慢性痛によるQOL(生活の質)の著しい低下
  • 治療やリハビリに要する時間的・経済的コスト

調査結果:外科医の15~20%が「早期退職」を検討

同調査によれば、以下のような傾向が明らかになっています:

  • 米国および英国の外科医の約20%、
  • ドイツの外科医の約15%

が身体的負担を理由に早期退職を検討しているという事実です。

また、Fortune Journalsによる別の全国調査では、外科医の早期退職理由として「加齢」「健康問題(筋骨格系疾患を含む)」「燃え尽き症候群」「医療過誤訴訟リスクの増加」などが挙げられており、腰痛は中心的なリスク要因となっています。

調査結果:外科医の早期退職理由の第1位は「筋骨格系障害」


ボストン医療センターのニコル・シンバック氏の論文「Burnout Leads to Premature Surgeon Retirement: A Nationwide Survey」によると、2295件の医師退職者への調査から、外科医の早期退職の理由第1位は、腰・肩・首の痛みなどに代表される「筋骨格系障害」であったことが明らかになっています。(参考リンク:Journal of Surgery and Research

外科医の早期退職理由
(出典:Journal of Surgery and Research)

腰痛が引き起こす経済的・組織的影響

離職による医療体制への影響

外科医が早期に退職することは、

  • 手術スケジュールの圧迫
  • 若手医師への過重労働のしわ寄せ
  • 地域医療の崩壊リスク

といった組織的・社会的課題を引き起こします。

個人の経済リスクも深刻

オーストラリアの研究では、腰痛を主な理由に労働力から離脱した45~64歳の人々の41.4%が、健康な同年代と比較して大幅に資産が少ないことが示されています(出典:PMC)。腰痛は、単なる健康問題にとどまらず、生活基盤を脅かす経済的リスクとも言えるのです。


外科医の腰痛を防ぐための対策—人間工学と制度改善の視点から

腹腔鏡手術を担当する外科医の多くが手術中に腰痛や筋肉痛を経験していると報告されています

エルゴノミクス改善

  • 手術台やモニターの高さ調整
  • 足元マットやサポートチェアの活用
  • 姿勢保持を補助する装着型デバイス

医療機関での制度的サポート

  • 定期的な休憩の義務化
  • 物理療法士との連携による予防リハビリ
  • 腰痛対策の研修プログラムの導入

技術の力を借りる:ロボティック手術の可能性

  • 身体的負担の軽減
  • 精密な操作のサポート
  • より自然な姿勢での手術が可能

結論:持続可能な外科医の働き方を目指して

外科医の早期退職が医療体制の脆弱化を招く今、腰痛という身体的リスクへの対策は急務です。手術環境の改善、制度的な支援、テクノロジーの導入といった多面的な取り組みが求められています。

医療の質を維持し、外科医が安心して長く働ける環境を整えることは、患者にとっても社会にとっても極めて重要な課題です。

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導入事例

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脊髄外科のオペは基本長時間立って、放射線防護のプロテクターを着用して行います。僕自身ずっと腰痛に悩み、医療用コルセットを着けながらオペをしてきました。アルケリスは本当に楽です。週10件のオペすべてでアルケリスを使っています。腰の手術を専門にやっている僕が、アルケリスを導入してからはコルセットを使わなくなったことからも、アルケリスの良さが伝わるかなと思います。アルケリスがなかったら、僕は手術しません。

深谷 賢司 先生

綾部ルネス病院 副院長
脳・脊髄外科
脳神経外科専門医 医学博士

綾部ルネス病院副院長_脳脊髄外科_深谷賢司医師

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