なぜ日本も「休息の権利」を考えるべきか?――カリフォルニア州の“座る権利”裁判から学ぶ

業務中に「座る」ことは“甘え”なのか?
コンビニのレジ、ドラッグストアの接客、銀行窓口など、日本では「立っていることが仕事の一部」とみなされる業務が少なくありません。しかし、それは本当に必要なのでしょうか?
実は、アメリカ・カリフォルニア州では、立ち仕事を強いられる従業員の“座る権利”をめぐる裁判が2016年に最高裁まで持ち込まれ、注目を集めました。この「Kilby v. CVS Pharmacy, Inc.」裁判では、**「業務の性質が座っても支障ないのであれば、雇用主は従業員に椅子を提供すべきだ」**という判断が下されたのです。

仕事の「性質」が座れるなら、座らせるべき
カリフォルニア州の労働規定には、以下のような条文があります。
「業務の性質が合理的に座ることを許す場合、すべての労働者に適切な椅子を提供しなければならない」
この規定が争点となったのが、CVSドラッグストアでのケース。レジ操作や商品陳列などを担当する従業員が、勤務中ずっと立ちっぱなしを強いられていたことに対し、裁判所は以下のような判断を示しました。
- 業務の一部でも「座って支障ないタスク」がある場合、その業務を行う場所では椅子を用意すべき
- 企業の“立たせたい”というビジネス上の希望よりも、客観的な業務内容に基づく判断が優先
- 「休憩中だけ座る」のでは不十分。業務中でも可能なら座る権利を認めるべき
この判断は、単なる“座りたい”ではなく、**「人間としての尊厳を守るための合理的な配慮」**として、休息の選択肢を与えるという思想に基づいています。

日本の現場にも広がる「立ちっぱなし」の課題
業界・工程の特徴
日本では、サービス業、小売業、製造業、医療・介護業など、多くの業種で「立って仕事をする」ことが常態化しています。特にレジ業務や接客対応は、動きが少ないにもかかわらず“立ち姿勢”が基本とされ、長時間同じ姿勢を強いられることが少なくありません。
現場でよくある困りごと
- 足のむくみや腰痛、膝の痛みなど身体的な負担
- 疲労による集中力低下や作業ミスの増加
- 長時間の立ち姿勢による血行不良や慢性的な疲労蓄積
現場の声・管理者のよくある悩み
- 身体の負担からくる離職率の高さ
- 安全衛生面での法的リスクへの不安
- 人材確保・定着の難しさ
改善のきっかけは「働き方を見直す意識」から
日本の職場でも、腰痛や疲労によるミス、安全性の低下、そして離職リスクが問題視されることが増えてきました。こうした課題に対し、
- 「作業環境の見直し」
- 「人間工学的な対応」
- 「サポート機器・補助ツールの導入」
といった方向性で、少しずつ改善の動きが広がっています。
たとえば、立ち仕事中でも一時的に身体を預けられる補助デバイスの活用や、「必要に応じて座ってもよい」という運用ルールの明文化など、小さな一歩でも大きな変化につながる可能性があります。
まとめ・今後への示唆
アメリカで「座る権利」が議論される背景には、従業員の健康を守ることが業務効率や企業価値に直結するという考え方があります。日本でも、「ずっと立っているのが当たり前」という価値観を見直し、身体に優しい働き方を模索するタイミングに来ているのではないでしょうか。
労働者の安全衛生や働き方改革が注目される中、“必要なときに座れる”環境づくりは、これからの標準になっていく可能性があります。
図表:裁判における「座る権利」の判断基準(カリフォルニア州)
判断基準項目 | 解説 |
---|---|
業務の性質 | タスクが座っても支障ないかどうかを判断。 |
作業場所 | 立ち作業と座り作業が混在する場所はそれぞれ別で評価。 |
雇用者の判断 | 客観的に妥当な業務内容に基づくものでなければならない。 |
職場レイアウト | 椅子設置の妨げになるような設計は正当化されない。 |
従業員の特性 | 個人の身体能力ではなく業務内容が判断基準となる。 |
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