医療従事者の職場に潜む人間工学的リスクと筋骨格系障害の実態

エルゴノミクス・ハザード 医療従事者の人間工学的リスク 立ち仕事のミカタ

はじめに

医療従事者は日々、患者のケアや治療を行う中で、さまざまな職業上の健康リスクにさらされています。その中でも特に問題となるのが 人間工学的リスク(エルゴノミクス・ハザード) による 筋骨格系障害(MSDs:Musculoskeletal Disorders) です。本記事では、パキスタンの医療施設で実施された調査研究を基に、医療従事者が直面する職場のリスクやその対策について詳しく解説します。


医療従事者における職業上の健康リスクとは?

本研究では、ラホールにある5つの医療施設で働く200人の医療従事者を対象に、職業上の健康リスク(OH&S)に関する調査が行われました。調査の結果、医療従事者は以下の4つのリスクに頻繁にさらされていることが明らかになりました。

  1. 人間工学的リスク(Ergonomic Hazards)
    • 筋肉痛や捻挫(76.5%)
    • 肘・手首・首の痛み(56.0%)
    • 不適切な姿勢による問題(56.0%)
    • 過度な筋肉の伸展(67.5%)
    • 仕事中の曲げやねじり動作(55.5%)
  2. 生物学的リスク(Biological Hazards)
    • 切り傷や裂傷(69.0%)
    • 検体との直接接触(56.0%)
    • 空気感染のリスク(64.0%)
    • 感染症(72.0%)
  3. 物理的リスク(Physical Hazards)
    • 転倒・滑り(65.0%)
    • 高騒音環境(64.0%)
    • 化学薬品のこぼれ(54.0%)
  4. 心理社会的リスク(Psychosocial Hazards)
    • ストレス(77.0%)
    • 職場での身体的または心理的暴力(68.5%)

人間工学的リスクと筋骨格系障害(MSDs)

特に注目すべきは、人間工学的リスクが 筋骨格系障害(MSDs) に直結する点です。MSDsとは、神経・筋肉・腱・骨・関節などの障害を引き起こす症状であり、医療従事者の間で非常に多く報告されています。

医療従事者が経験する主なMSDs

  • 腰痛(46.5%):特に患者の持ち上げ作業が多い看護師や介護士に多い。
  • 手首や指の痛み(27.0%):長時間の電子カルテ入力や点滴・注射作業の影響。
  • 肩の痛み(56.0%):繰り返し行う同じ動作や無理な体勢での作業による影響。
  • 膝の痛み(26.0%):長時間の立ち仕事や重い物の持ち運びによる負担。

この研究では、特に 長時間労働、複数施設での勤務、重い荷物の持ち運び がMSDsの発症リスクを高めることが指摘されています。


医療従事者のための職場改善策

この研究では、多くの医療施設が感染対策や安全対策を実施しているにもかかわらず、人間工学的リスクや心理的ストレスへの対策が不十分であることが明らかになりました。そこで、以下の改善策が推奨されます。

1. 正しい姿勢のトレーニング

  • 患者を持ち上げる際の適切な姿勢 を学ぶことで、腰痛のリスクを軽減。
  • 看護師や介護士向けの エルゴノミクス研修 を定期的に実施。

2. スタンディングアシストツールの活用

  • 長時間の立ち仕事による足腰への負担を軽減するために アシストデバイス を導入。
  • 立ち仕事をサポートする 「立ち仕事用サポートチェア」や「アクティブシーティング」 の活用。

3. 作業環境の改善

  • 調整可能なデスクや椅子 を導入し、個々の体格に適した作業環境を整備。
  • 足元のクッション性を向上 させるため、適切な床材やマットを使用。

4. ストレス管理と職場環境の向上

  • 職場でのストレス軽減のため、定期的なカウンセリングやメンタルヘルスプログラム を実施。
  • 労働時間の適正化 により、長時間労働や過重労働を防ぐ。

まとめ

医療従事者の職場では、さまざまな健康リスクが存在していますが、特に 人間工学的リスク による筋骨格系障害(MSDs)は多くの医療従事者に影響を及ぼしています。本研究の結果を踏まえ、適切なエルゴノミクス対策を導入することで、医療従事者の負担を軽減し、働きやすい環境を整えることが不可欠 です。

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