立ちっぱなしより楽!?動的立位による疲労軽減の可能性とは!?

立ち仕事における疲労の問題
製造業や組立作業に従事する労働者は、一日中立ちっぱなしの作業を強いられることが多く、これにより筋骨格系障害(MSD)のリスクが高まります。特に、**静的立位(stationary standing posture)**は、血流の低下や筋肉の疲労を引き起こし、腰痛や足の痛みの原因となります。本記事では、**動的立位(dynamic standing posture)**を取り入れることで、疲労軽減や作業効率の向上が可能かどうかを探ります。
研究概要:動的立位と静的立位の比較
インド工科大学マドラス校の研究グループが実施した研究(Balasubramanian et al., 2009)では、組立作業における動的立位と静的立位の筋肉疲労への影響が評価されました。本研究では、9名の被験者が、
- 静的立位: 1か所にとどまり作業を続ける
- 動的立位: 複数の作業台を移動しながら作業する という2つの条件で組立作業を行い、それぞれの疲労度を評価しました。
評価方法
- 筋電図(sEMG)測定:筋疲労の進行を数値化
- 心理物理学的分析:作業後の痛みや不快感の主観評価
実験で使用された筋肉測定部位(図1)
本研究では、以下の4つの筋肉の筋電図(sEMG)データを測定しました。

- 左腓腹筋(Left Gastrocnemius, LG)
- 右腓腹筋(Right Gastrocnemius, RG)
- 右僧帽筋(Right Trapezius, RT)
- 右脊柱起立筋(Right Erector Spinae, RES)
これらの部位は、立ち仕事時の負荷が最もかかる筋肉群であり、疲労の蓄積が問題視されるポイントです。
研究結果:動的立位の有効性
1. 筋電図(sEMG)による測定結果(図3)
- 静的立位では、脚や腰の筋肉の疲労度が有意に高い(p < 0.05)
- 動的立位では、筋疲労の進行が遅く、特に腰やふくらはぎの筋肉への負担が軽減

図3のポイント
- (A) RMSのスロープ:静的立位ではRMS値が急上昇し、筋疲労が進行。
- (B) MPFのスロープ:静的立位ではMPFが急激に低下し、筋肉の持久力が低下。
2. 主観的評価(心理物理学的分析)
- 静的立位では、脚や肩の痛みが強く(p < 0.05)、全体的な不快感も増加
- 動的立位では、疲労感が軽減され、快適性が向上
表1のポイント
- 静的立位では、脚や肩、腰の痛みスコアが高い。
- 動的立位では、全体的に痛みが少なく、快適性が向上。
なぜ動的立位が有効なのか?
静的立位では、長時間同じ姿勢を維持することで血流が悪化し、筋肉が酸素不足に陥ります。一方、動的立位では、歩行によって血液循環が促進され、筋肉の酸素供給が改善されるため、疲労の蓄積が抑えられます。
研究によると、15分ごとに2~4分の歩行を取り入れるだけで、足の静脈圧を低下させ、疲労感を軽減できることが示唆されています(Konz & Johnson, 2000)。
職場での実践方法
1. 作業エリアの設計改善(図2)
- 作業ステーションを複数設置し、従業員が自然に移動できる環境を整備
- 組立ラインに動的な動きを取り入れることで、筋疲労を軽減

図2のポイント
- 6つの作業テーブルを配置し、作業者が移動しながら作業を行う。
- 移動を伴うことで、筋肉の血流を促進し、疲労の蓄積を防ぐ。
2. 適切なフットウェアとマットの導入
- クッション性の高い靴や立ち仕事用マットを使用
- 長時間の立位作業でも足の負担を軽減
3. 作業者への教育と啓発
- 動的立位の重要性を理解し、適切な姿勢の取り方を指導
- 定期的な休憩と簡単なストレッチを推奨
まとめ
本研究は、動的立位が静的立位に比べて、筋疲労の進行を遅らせ、作業者の快適性を向上させることを示しました。製造業や組立作業において、歩行を伴う作業スタイルを取り入れることが、疲労軽減と生産性向上に寄与する可能性があります。
参考文献
- Balasubramanian, V., Adalarasu, K., & Regulapati, R. (2009). Comparing dynamic and stationary standing postures in an assembly task. International Journal of Industrial Ergonomics, 39(5), 649-654.
- Konz, S., & Johnson, S. (2000). Work design: Occupational ergonomics. Holcomb Hathaway Publishing。
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