歯科医師における筋骨格系障害(MSDs)の実態調査 予防と対策とは?

1. はじめに
歯科医師は、長時間にわたる同じ姿勢での作業や繊細な手作業の繰り返しにより、筋骨格系障害(Musculoskeletal Disorders, MSDs)のリスクが高い職業の一つです。本記事では、最新の研究「Musculoskeletal disorders among dental practitioners – A survey」をもとに、歯科医師のMSDsの実態と、予防策について解説します。
2. 調査概要
本研究は、インドの歯科医師152名(男性96名、女性56名)を対象に、MSDsの発生状況を調査しました。研究では、以下の情報を収集し、統計解析を行いました。
- 身長・体重
- 1日の平均診療患者数
- 週の勤務日数
- 歯科医師としての経験年数
- 痛みやこわばりの頻度と程度
調査の結果、歯科医師の多くが首、肩、腰、股関節に痛みを抱えていることが明らかになりました。
3. 調査結果:歯科医師のMSDsの実態
① こわばりの発生率
歯科医師の多くが、常に筋肉のこわばりを感じている部位として以下が挙げられました。この結果から、特に首、背中、股関節の痛みが高い割合で報告されており、長時間の不適切な姿勢が影響している可能性が高いことがわかります。

② 部位ごとの痛みの強度
本調査では、痛みの発生率だけでなく、痛みの強度(軽度・中程度・重度)についても詳細に分析されました。以下に、各部位ごとの痛みの頻度と影響について示します。

この結果から、特に**首(74%)、背中(69%)、股関節(84%)**の痛みが高い割合で報告されており、長時間の不適切な姿勢が影響している可能性が高いことがわかります。
また、痛みの強度に関する詳細な分析によると、特定の部位で重度の痛みを感じる歯科医師の割合も高いことが分かりました。
- 首:重度の痛み 46%(ストレートネックのリスク増)
- 背中:重度の痛み 56%(腰椎椎間板ヘルニアの可能性)
- 股関節:重度の痛み 11%(長時間の座位による影響)
このように、歯科医師の仕事では、首・背中・股関節への負担が非常に大きく、長期的な職業病につながる可能性があります。
4. なぜ歯科医師はMSDsになりやすいのか?
① 長時間の静的姿勢
歯科医師は診療中に長時間同じ姿勢を維持しなければならず、血流が悪化し、筋肉の疲労が蓄積しやすくなります。
② 無理な体勢と繰り返し動作
患者の口腔内を確認するために、無理な前傾姿勢や腕の持ち上げを繰り返すことが多く、肩や首、背中に大きな負担がかかります。
③ 精密な作業
細かい動作を行うために、手指や前腕の筋肉を酷使することで、肘や手首のMSDsリスクが増加します。
5. 歯科医師のMSDsを防ぐための対策
① 正しい姿勢を意識する
- 患者の位置を適切に調整し、無理な前傾姿勢を避ける。
- 背筋を伸ばし、肩をリラックスさせることで負担を軽減。
② エルゴノミクスに基づいた機器の導入
- 調節可能な診療チェアを使用し、姿勢を最適化する。
- 軽量な器具を選ぶことで、手首や腕の負担を減らす。
③ ストレッチとエクササイズ
- 診療の合間に首や肩のストレッチを行う。
- 背中や腰の筋肉を鍛えることで、姿勢を安定させる。
④ 休息を意識する
- 1時間ごとに短い休憩を取ることで筋肉の緊張を和らげる。
- アイスパックや温湿布を利用し、炎症や痛みを軽減する。
6. まとめ
本調査では、歯科医師の多くがMSDsを経験しており、特に首、背中、股関節の痛みが顕著であることが明らかになりました。適切な姿勢の維持や、エルゴノミクスに基づいた職場環境の改善、ストレッチや運動の習慣化が、MSDsの予防に重要です。
あなたのクリニックでは、MSDs対策を取り入れていますか?
日常の習慣を見直し、健康的な職場環境を目指しましょう。


オペ中の立ち姿勢の
負荷を軽減する
医師のための
アシストスーツ
「アルケリス」
アルケリスは立ち姿勢を
イスに座っているかのように楽に支え、
オペ中の医師の身体疲労を大幅に軽減します。
医師の働き方改革を
足元から支えるアシストスーツです。

限られた空間で、理想的な手術の立ち位置です。
椅子を無くしたため、衛生士や周りのみんなが動きやすいのも利便です!
インプラント等の手術で腰と膝に負担がかかり、椅子を使用していた田中院長。アルケリスを導入し、疲労や負担を感じずに理想的な立ち姿勢での手術を行えるようになり、外科医としての寿命の改善についてもコメントいただきました。
金沢文庫もあ歯科医院
一般歯科 小児歯科 口腔外科
院長 田中 洋一 歯科医師
導入事例
もうコルセットは要りません。アルケリスがなかったら、僕は手術しません。
脊髄外科のオペは基本長時間立って、放射線防護のプロテクターを着用して行います。僕自身ずっと腰痛に悩み、医療用コルセットを着けながらオペをしてきました。アルケリスは本当に楽です。週10件のオペすべてでアルケリスを使っています。腰の手術を専門にやっている僕が、アルケリスを導入してからはコルセットを使わなくなったことからも、アルケリスの良さが伝わるかなと思います。アルケリスがなかったら、僕は手術しません。
深谷 賢司 先生
綾部ルネス病院 副院長
脳・脊髄外科
脳神経外科専門医 医学博士

その他の立ち作業の負担軽減デバイス
アルケリスは立ち姿勢の負荷軽減デバイスを販売中です。職場環境に合わせて、疲労軽減ジェルマット、スタビ ハーフ、スタビフルから選ぶことができます。医療従事者の負荷軽減という観点から、医師の働き方改革をサポートします。