歯科衛生士の「首・肩・腰」に潜む危機 作業姿勢と筋骨格系障害の深い関係

導入:なぜ歯科衛生士は身体を壊しやすいのか?
「最近、肩がこって仕方ない」「腰の痛みで仕事に集中できない」──
これは多くの歯科衛生士が日々抱えている悩みです。
精密な作業を必要とする歯科医療の現場では、歯科衛生士は長時間にわたり前屈姿勢や腕の上げ下げといった特定の動作を繰り返します。
その結果、多くの歯科衛生士が**筋骨格系障害(MSDs)**と呼ばれる身体トラブルに悩まされているのです。
今回紹介する研究では、歯科衛生士と学生を対象に、作業姿勢と筋骨格系障害との関連性を調査し、原因と対策を明らかにしました。
本論:15年で変わった歯科衛生士の働き方と身体への負担
業務の中心は「補助者」から「術者」へ
2005年と2019年の比較から明らかになったのは、歯科衛生士の仕事が補助中心から施術中心へと大きく変化していることです。
図表1:歯科衛生士の業務構成と勤務状況の変化(表1)

この図表から、以下の点が読み取れます:
- 術者作業を主に行う者が**2005年は27.3% → 2019年は63.4%**と、約2.3倍に増加。
- 一方で補助者作業を主とする者は減少。
- 患者数の増加や休憩取得率の低下から、業務量の増加も見て取れます。
高まる「頸・肩・腰」の不調の訴え
図表2:部位別の身体疲労有訴率(表4)

身体のどの部位に痛みが出やすいかを調査した結果:
- 肩部:49.7~64.2%
- 頸部:45.0~49.7%
- 腰部:43.8~48.8%
また、右手首・指など、利き手側により強い負担が出ていることも明らかになりました。
学生との比較でわかる「頸」の深刻さ
同調査で学生(主に補助作業を行う)と比較したところ、
- 頸の疲労は歯科衛生士の方が1.5倍高い
- 学生は腰や膝、足首の疲労が多く、立位や中腰姿勢の負担が示唆されました。
実験:作業姿勢はどれだけ不自然なのか?
研究では、実際のスケーリングやPMTC時の頸部・肩部の角度を動画から分析しました。
図表3:頸部・肩部の作業時の不良姿勢率(図1および表6)


- 頸部前屈角度30度以上:平均82.6%の作業時間を占める
- 肩部外転角度30度以上:平均51.8%
- さらに60度を超える高度な外転も16.3%
✅ ポイント:熟練度(学生 vs 歯科衛生士)に関係なく不良姿勢の割合は高く、「作業の特性」そのものが原因である可能性が高い。
図で見る:どの姿勢が一番つらいのか?
図表4:姿勢の頻度と苦痛の有訴率(図4)

- 最も頻度が高かった姿勢は「躯幹前傾」で、歯科衛生士86.3%、学生78.1%。
- 苦痛が最も多く報告されたのは「連続立位作業」:学生66.7%、衛生士13.1%。
この図は、作業ごとの姿勢負荷とその痛みの有無を対応させた非常に有用な図表です。
図表5:上肢の動きと苦痛の有訴率(図5)

- 手指への力、手首の屈伸、肘の挙上など、精密作業に必須の動作がいずれも高頻度。
- 歯科衛生士ではそれらに対する苦痛の訴えが有意に高い。
図表6:反復動作や左右手の使い分けと苦痛(図6)

- 反復動作や両手使いなどはほぼ全員が「頻繁に行っている」と回答。
- ただし苦痛の訴えは比較的低く、「姿勢」と「動き」が重なると症状が強く出る可能性を示唆。
ストレッチや通院は「予防」でなく「対処」
図表7:身体疲労と対応策の実施状況(図7)

- ストレッチ、運動、通院を行っている人は全体の3割以下。
- 対策をしていても疲労点数が高く、症状が出てから対処している実態が明らかになりました。
結論:予防のためにできることは何か?
本研究から得られた知見は次の3点にまとめられます。
1.環境改善は進んでいるが、作業内容の負荷は増加
15年間でユニット配置などの環境は改善。しかし、施術者としての業務が増加し、身体への負担は依然として高い。
2.頸・肩・腰に集中する筋骨格系障害
特に「頸」は術者作業により圧倒的に多く、姿勢の維持が負荷の主因である。
3.予防には「意識」と「習慣化」が重要
- ストレッチを診療前後に取り入れる
- 小休憩を意識的に設ける
- スツール・ミラーなどのポジショニング補助ツールの活用
今後の展望:ウェアラブルデバイスによる支援
今後は、頸部や肩部の負荷軽減を目的とした**装着型サポート機器(アシストスーツやサポーターデバイス)**の導入が、筋骨格系障害の予防に効果的であると考えられます。
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