スタビレフト開発ストーリー

開発ストーリー
〜スタビレフト誕生の背景〜


始まりは熊本の自動車シートカバー縫製工場から

この開発のきっかけは、2021年7月熊本の自動車シートカバー縫製工場の管理者の方からのご相談でした。

その工場はこれまで衣料品の製造を行っていましたが、業態を自動車シートカバーの縫製へ切り替えることとなり、
トヨタソーイングシステム(以下、「TSS」という)を導入。

TSS導入に伴い、以前まで座って行っていたミシン作業が、立ちミシンでの作業へと変わりました。

立ちミシンの利点課題

立ちミシンは作業者は椅子に座らない分、
・機動力が向上し、大きな製品の取り回しがしやすくなること
・一人で複数のミシンを使い分けながら作業できることで、生産効率も大幅に上がること
が期待され導入されました。

しかし、立ちミシン導入直後から長時間の立ち作業によるスタッフの身体的負担を訴える声が耳に入るようになりました。

具体的には、左足を軸足にして体重を支えながら右足で繊細なペダル操作を行うため、片足荷重となり、足の痛みや長時間の立ち姿勢の維持による腰の不調などを訴える作業者が増えました。

この結果、離職率が高まり、新規求人でも人材確保が難しくなるという問題が発生しました。

解決策として「アルケリス」の活用を模索

こうした課題に対して注目いただいたのが、アシストスーツ「アルケリス」でした。

アルケリスを着用しながら作業を行うことで、立ちミシン作業の負担を軽減できるのではないかと考えて
早速工場に導入いただきました。

最初のトライ結果は、「立ち姿勢の負担は軽減されるが、右足の自由度が減少し、ペダル操作に支障が出る」というものでした。

次に、右足のアルケリスを外し、左足だけをサポートした状態で試してみたところ、ペダル操作は問題なくできるようになりましたが、製品を持って長い距離を移動する際に左足の動きが制限されるので移動に支障がでるなど、期待した結果は得られませんでした。

また、「ロボットのような見た目に戸惑いがある」というスタッフからのフィードバックもあり、アルケリスの現場での使用には心理的なハードルも影響していることが明らかになりました。

ヒントは現場に 
~新たなコンセプトの誕生~

その後、立ちミシン作業の現場に何度も通わせていただき、詳細に分析する中で2つのポイントに気づきました。

①ミシン作業は常に同じ位置で行われるため、作業者の立ち位置が固定されていること。
②作業者は特定のミシンを使用していること。

これにより、「特定の位置で左足を支えることができれば、立ち作業の負担を軽減できる」という新たな解決策に辿り着きました。

課題解決のコンセプトが「身に着ける」製品から、「特定の場所で立ち姿勢を支える」製品へと進化させることができた瞬間でした。

試作と改良のプロセス

この新しいコンセプトを元に、スネとモモに体重を分散させるというこれまでのアルケリスの原理を活かした、特定の場所に置いて使用できる製品の開発が始まりました。

何度も試作機を熊本に持ち込み、サイズ感や立ち姿勢の角度などを調整しながら、約半年にわたる改良を重ねました。

開発中、もう一つの重要なポイントは「コストの削減」でした。アルケリスから機能を絞った製品である以上、
より低価格で提供できることが求められました。

1台10万円以下の販売価格を目指し、
・必要最低限のサイズと機能に徹底的に絞り込むこと
・「デザインレス」「金型レス」
という取り組みで、開発コストも抑えながら目標価格を実現しました。

新製品「スタビ」 名前の由来 

こうして生まれた新しい製品には、身体のスタビリティ(安定性)を向上させるという意味を込めて、
「スタビ」と名付けました。

この製品は、立ちミシン作業に限らず、さまざまな立ち仕事の現場で活用されることを期待しています。

アルケリスシリーズと合わせて、ぜひお試しください。