NIOSHリフティング方程式とは?重量物持ち上げの安全性評価のグローバルスタンダードへ

NIOSHリフティング方程式とは?重量物持ち上げの安全性評価のグローバルスタンダードへ

1. はじめに

荷物を持ち上げる作業(リフティング)は、労働現場において非常に一般的な動作ですが、不適切な方法で行うと、腰痛(LBP)や筋骨格系障害(MSDs)のリスクが高まります。特に、重量物を頻繁に扱う作業員や医療従事者 にとって、持ち上げ作業の適切な評価と改善は、労働災害の予防に不可欠です。

そこで、米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、持ち上げ作業の安全性を評価するための**「NIOSHリフティング方程式(NIOSH Lifting Equation)」** を開発しました。本記事では、その計算方法や活用法について詳しく解説します。


2. NIOSHリフティング方程式とは?

NIOSHリフティング方程式は、荷物を持ち上げる際の適切な重量を評価し、労働者の腰部への負担を軽減する ための計算式です。この方程式を用いることで、安全に持ち上げられる最大重量(許容持ち上げ重量, RWL: Recommended Weight Limit) を算出できます。

📌 計算の目的

  • 腰痛やMSDsのリスクを軽減
  • 持ち上げ作業の負担を数値化して管理
  • 労働環境を最適化し、安全な職場を実現

3. NIOSHリフティング方程式の計算方法

許容持ち上げ重量(RWL) は、以下の方程式で求められます。

📌 計算式

NIOSH Lifting Equation
source: TuMeke Ecgonomics

🔹 LC(Load Constant:基準重量) = 23kg(50ポンド)
🔹 HM(Horizontal Multiplier:水平距離係数) = 荷物を持ち上げる距離が近いほど良い(中心からの距離が遠いと低下)
🔹 VM(Vertical Multiplier:垂直距離係数) = 荷物の高さが適正であるほど良い(床面から近すぎると低下)
🔹 DM(Distance Multiplier:持ち上げ距離係数) = 持ち上げる距離が短いほど良い(持ち上げ高さが高いと低下)
🔹 AM(Asymmetry Multiplier:非対称係数) = 体をひねらずに持ち上げる方が良い(角度がつくと低下)
🔹 FM(Frequency Multiplier:頻度係数) = 持ち上げる頻度が少ないほど良い(繰り返し回数が多いと低下)
🔹 CM(Coupling Multiplier:持ちやすさ係数) = 荷物の持ちやすさが良いほど高評価(取っ手の有無など)

この計算を通じて、労働者が安全に持ち上げられる最大重量 を評価することができます。


4. リフティングインデックス(LI)

さらに、実際に持ち上げている重量(L) と計算された許容持ち上げ重量(RWL)を比較することで、作業のリスクレベルを判定するリフティングインデックス(LI) を求めます。

📌 計算式

リスク評価基準

LI値評価
LI ≤ 1.0安全な作業範囲
1.0 < LI ≤ 3.0改善が必要な可能性あり
LI > 3.0高リスク(改善が必須)

例えば、RWLが10kgで、実際の荷重(L)が20kg の場合:

これはリスクがある状態 であり、作業の改善が推奨されることを意味します。


5. NIOSHリフティング方程式の活用例

(1)工場や倉庫での重量物運搬

倉庫業務では、重い荷物を頻繁に運ぶ作業が多いため、NIOSHリフティング方程式を用いて持ち上げ可能な重量を計算し、過負荷を防ぐ ことができます。

(2)医療現場での患者移動

看護師や介護スタッフは、患者の移動補助を行うことが多いため、NIOSHの計算式を活用して適切な介助方法を決定し、腰への負担を軽減 できます。

(3)建設現場での資材運搬

建設作業員が資材を運ぶ際に、安全な持ち上げ方を指導することで、作業中の事故や腰痛リスクを低減できます。


6. 安全な持ち上げ作業のポイント

NIOSHリフティング方程式に基づき、安全に荷物を持ち上げるための基本ルールを紹介します。

荷物を身体の近くに保持(HMの影響を最小限にする)
腰ではなく膝を曲げて持ち上げる(背骨への負担を軽減)
頻繁に持ち上げる作業は重量を制限(FMを考慮)
取っ手やグリップを使用し、持ちやすさを改善(CMを最適化)
体をひねらずに持ち上げる(AMの影響を低減)


7. まとめ

NIOSHリフティング方程式は、持ち上げ作業の安全性を評価し、労働者の腰痛予防や作業効率向上に役立つツール です。特に、工場・倉庫・医療・建設業界などの現場で積極的に活用することで、労働災害を防ぎ、職場環境を改善することができます

リフティング方程式を活用し、安全な作業重量を算出
リフティングインデックス(LI)でリスクを評価
安全な持ち上げ技術を導入し、腰痛や負傷を防ぐ

あなたの職場では、持ち上げ作業のリスク管理が適切に行われていますか?
今すぐNIOSHリフティング方程式 を活用し、安全で効率的な職場環境を目指しましょう!

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