航空整備士の職業病 作業関連筋骨格系疾患(WMSD)の実態と対策

なんと約77.5%が腰痛を経験!航空整備士の職業病 作業関連筋骨格系疾患(WMSD)の実態と対策 立ち仕事のミカタ

はじめに

航空整備士は、高度な専門技術を要する仕事でありながら、身体的な負担が大きい職業の一つです。特に、作業関連筋骨格系疾患(Work-related Musculoskeletal Disorders: WMSDs)は、整備士の健康を脅かす大きな課題となっています。本記事では、マレーシアの**王立マレーシア空軍(RMAF)**に勤務する整備士を対象とした研究をもとに、WMSDsの発生状況やリスク要因、予防策について詳しく解説します。


1. 航空整備士のWMSDsの発生状況

研究では、40名のRMAF航空整備士を対象に調査を行い、過去12か月間におけるWMSDsの発生率を分析しました。その結果、最も多くの整備士が痛みを訴えた部位は以下の通りです。

部位WMSDs発生率(過去12か月)
腰部(下背部)77.5%
70.0%
左肩52.5%
上背部47.5%
両膝45.0%
手首42.5%

さらに、直近1週間の痛みの発生率においても、首(45.0%)右肩(37.5%)、**腰部(25.0%)**といった部位の負担が特に大きいことが分かりました。

過去12か月間のWMSDs発生率
source:
Prevalence of Work-related Musculoskeletal Disorders
(WMSDs) Among Aviation Maintenance Personnel in Malaysia

2. WMSDsの主なリスク要因

研究では、WMSDsの発生に影響を与えるリスク要因として、年齢勤続年数が統計的に有意な関連を示しました。

  • 年齢が高いほど、WMSDsの発生率が増加
  • 勤続年数が長いほど、痛みを感じるリスクが高まる
  • 整備作業の種類によって、負荷のかかる部位が異なる
    • エンジンベイ作業:背中や肩の負担が大きい
    • 構造検査作業:首や膝の負担が大きい

また、作業中の姿勢(前屈み・無理な体勢)や、反復的な動作(重量物の持ち上げ、工具の使用など)が、WMSDsの発生に強く影響していることも確認されました。

WMSDs発生率と個人因子の関連
source:
Prevalence of Work-related Musculoskeletal Disorders
(WMSDs) Among Aviation Maintenance Personnel in Malaysia

3. WMSDsの予防策

WMSDsを防ぐためには、エルゴノミクス(人間工学)に基づく職場環境の改善個々の従業員の対策が必要です。

(1) 物理的対策

作業環境の見直し

  • 工具や部品の配置を最適化し、無理な姿勢での作業を減らす
  • 作業台やシートの高さを調整し、腰や肩への負担を軽減
  • 軽量化された作業用具を導入し、手首や腕の負担を減らす

補助機器の活用

  • アシストスーツの導入(特に長時間の前傾姿勢が必要な作業向け)
  • 腰部サポートベルトや膝パッドの使用
  • 作業中の姿勢をモニタリングするウェアラブルデバイスの活用

(2) 個々の対策

ストレッチ・筋力トレーニング

  • 作業前後のストレッチを義務化し、筋肉の疲労を軽減
  • 首・肩・腰の強化トレーニングを日常的に取り入れる
  • 休憩時間に簡単な体操を実施し、血行を促進

定期的な健康診断

  • 早期に症状を発見し、重症化を防ぐ
  • 作業者ごとに適した作業負荷を管理

ワークシフトの改善

  • 長時間の連続作業を避ける
  • 定期的なポジション変更で、特定の筋肉にかかる負担を分散

4. 研究結果の活用と今後の展望

本研究から、航空整備士が腰部・首・肩を中心にWMSDsのリスクが高いことが明らかになりました。今後、企業や軍事機関では、以下のような施策を強化することで、WMSDsの発生を大幅に抑制できると考えられます。

🔹 エルゴノミクスの導入強化
🔹 従業員の健康管理プログラムの拡充
🔹 ストレッチやトレーニングの定期実施
🔹 労働時間と作業姿勢の見直し

特に、エルゴノミクスに基づいた補助機器の導入は、整備士の負担軽減に即効性のある対策として有効です。企業としては、労働環境を改善することで、従業員の健康維持だけでなく、生産性向上にもつながると考えられます。


まとめ

航空整備士におけるWMSDsは、腰・首・肩の負担が大きく、長時間の作業がリスクを高めることが判明しました。適切なエルゴノミクスの導入や健康管理の強化により、WMSDsの予防が可能となります。本記事で紹介した予防策を取り入れ、安全かつ快適な作業環境の実現を目指しましょう。

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