7320人12年間の追跡調査で判明!立ち作業者は約2倍の心臓病リスクがある

7320人12年間の追跡調査で判明!立ち作業者は約2倍の心臓病リスクがある 職場改善応援メディア 立ち仕事のミカタ

はじめに

デスクワークによる長時間の座り姿勢が健康に及ぼす悪影響については多くの研究が行われてきました。しかし、立ち仕事が心血管疾患に及ぼす影響については、十分に研究されていません。今回紹介するカナダ・オンタリオ州の研究では、12年間にわたる追跡調査を通じて、立ち仕事と心臓病の発症リスクの関係が明らかにされました。

研究の概要

本研究は、2003年のカナダ健康調査(CCHS)のデータを基に、健康保険情報とリンクさせることで行われました。対象となったのは、カナダ・オンタリオ州で週15時間以上働く7,320人の労働者(男女各50%)で、調査開始時点で心臓病の既往歴がない人々です。研究では、労働者の職業における主な姿勢(座位・立位・歩行など)を分類し、その後12年間の追跡調査を通じて心臓病の発症率を分析しました。

主な研究結果

  1. 立ち仕事の労働者は座り仕事の労働者に比べて約2倍の心臓病リスクがある
    • 立ち仕事を中心とする職業に従事する人は、座り仕事の人と比較して心臓病を発症するリスクが有意に高いことが確認されました(ハザード比=2.18)。
    • 体重や生活習慣(喫煙、運動量など)を考慮しても、立ち仕事の心臓病リスクは依然として高いままでした。
  2. 座位・立位・歩行を組み合わせた職業では、男女で異なる影響が見られた
    • 男性では座位・立位・歩行を組み合わせた職業の方が心臓病リスクが低い傾向がありました(ハザード比=0.61)。
    • 一方、女性では逆にリスクが高まる傾向がありました(ハザード比=1.80)。
    • この違いは、職業の種類や業務内容の違い、労働環境の要因による可能性があります。
  3. 長時間の立ち仕事が心臓病のリスクを高めるメカニズム
    • 長時間の立位姿勢では、下肢の血液が滞留し、静脈圧が上昇することが考えられます。
    • これにより、心血管系に負担がかかり、酸化ストレスが増加することで心臓病のリスクが高まる可能性があります。

Table 1: 職業における姿勢別の心臓病発症率

座り仕事・立ち仕事・座位・立位・歩行を組み合わせた仕事・その他の姿勢の4つのカテゴリごとに、12年間の心臓病発症率を比較
source:: The Relationship Between Occupational Standing and Sitting and Incident Heart Disease Over a 12-Year Period in Ontario, Canada

概要

この表では、座り仕事・立ち仕事・座位・立位・歩行を組み合わせた仕事・その他の姿勢の4つのカテゴリごとに、12年間の心臓病発症率を比較しています。

主なポイント

  • 立ち仕事の人々は、座り仕事の人々よりも心臓病の発症率が高い(6.59% vs. 2.82%)。
  • 座位・立位・歩行を組み合わせた職業では、男性はリスクが低下するが、女性はリスクが上昇する傾向が見られる。
  • 「その他の姿勢」に分類された仕事(例: 屈む、しゃがむ)が多い職種でも、座り仕事よりは高いリスクを示す。

Table 2: 心臓病リスクのハザード比(HR)

職業ごとの心臓病発症リスク(ハザード比: HR)を示し、4つのモデル(基本調整→健康状態・ライフスタイルの影響を考慮)での違いを比較
source:: The Relationship Between Occupational Standing and Sitting and Incident Heart Disease Over a 12-Year Period in Ontario, Canada

概要

この表では、職業ごとの心臓病発症リスク(ハザード比: HR)を示し、4つのモデル(基本調整→健康状態・ライフスタイルの影響を考慮)での違いを比較しています。

主なポイント

  • 立ち仕事のハザード比(HR)は2.18(モデル3: 健康・社会経済的要因調整済み)。
  • BMIや健康習慣(喫煙・飲酒・運動)を加味したモデル(モデル4)でも、立ち仕事のHRは1.97と依然として高い。
  • **座位・立位・歩行を組み合わせた仕事は、男性ではHRが0.61(リスク低下)、女性では1.80(リスク増加)**と性別による違いが顕著。

Table 3: 性別ごとの心臓病リスク

性別ごとに座位・立位・歩行の影響を比較したハザード比
source:: The Relationship Between Occupational Standing and Sitting and Incident Heart Disease Over a 12-Year Period in Ontario, Canada

概要

性別ごとに座位・立位・歩行の影響を比較したハザード比を示しています。

主なポイント

  • 立ち仕事のリスク(HR)は男女でほぼ同じ(2.01 vs. 1.86)
  • 座位・立位・歩行を組み合わせた仕事は、男性にとってはリスク低下(HR = 0.61)、女性にとってはリスク上昇(HR = 1.80)
  • 男性の方が活動的な仕事でリスクが低減しやすい可能性。

職場環境の改善策

本研究の結果から、長時間の立ち仕事が心血管系の健康に悪影響を及ぼす可能性が示唆されました。そのため、以下のような職場環境の改善が求められます。

  • 座る機会を増やす工夫
    • 立ち仕事の合間に短時間でも座れる休憩スペースを設置する。
    • 高さ調整可能なデスクを導入し、座位と立位を交互に取れるようにする。
  • 足の負担を軽減する対策
    • クッション性のある床材や適切な靴を使用する。
    • 足の血流を促進するために、作業中の簡単なストレッチや足の動きを促すステップを活用する。
  • 業務の多様化を促す
    • 一定時間ごとに作業内容を変更し、異なる姿勢を取る機会を増やす。
    • 一部の業務を座位で行えるようにすることで、身体への負担を分散する。

まとめ

本研究では、長時間の立ち仕事が心臓病のリスクを高める可能性があることが示されました。一方で、座位・立位・歩行を組み合わせることでリスクが軽減されることも明らかになりました。健康的な職場環境を実現するために、立ち仕事の負担を減らす施策を積極的に取り入れることが重要です。

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